日本人の特別養子
「養子縁組」には、「普通養子縁組」と「特別養子縁組」があり、「特別養子」とは、民法の特別養子縁組制度において家庭裁判所の審判により養子を成立させることをいいます。 外国人の子が家庭裁判所の審判により日本人の「特別養子」となった場合は、「日本人の配偶者等」の在留資格で呼び寄せたり、この在留資格へ変更することができます。 普通養子は「日本人の配偶者等」には該当しません。
民法の特別養子縁組制度とは
6歳未満の子を、養親となる者の請求に基づき家庭裁判所の審判により養子縁組するもので、親が虐待する、育てられないなどの事情がある子を、家庭裁判所の監督のもと審判により実親やその血族との親族関係を絶って、養父母との親子関係を成立させる特別な養子縁組制度です。 よって、特別養子縁組は、子の福祉上特に必要と認められなければ成立しません。
外国人の子を特別養子とする場合の要件・手続
養子縁組の実質的要件は、縁組当時の養親となる者の本国の法律を適用します。 ただし、養子となる者の本国の法律に、養子の保護に関する規定(保護要件)を設けている場合には、その規定も適用されます。 養子となる者の本国の法律に、養子となる者や第3者(親族会・配偶者・戸主など)の承諾・同意又は公的機関(家庭裁判所など)の許可その他(行政委員会など)の処分があることなど、保護要件が養子縁組の成立要件としている場合は、その要件も満たさなければなりません。
外国人の子を特別養子とする場合には、養子は日本人ではないので、戸籍が編成されることはなく、養親の戸籍にその旨記載されるにとどまります。
日本の特別養子縁組の要件
日本人が外国人の子と特別養子縁組する場合は、日本の法律が適用され、以下の要件が必要となります。
・養親は配偶者のある者で、夫婦共に養親となる必要があります。
・夫婦は20歳以上でなければならず、一方は25歳以上でなければならない。
・特別養子縁組の請求を家庭裁判所にする時、養子となる者は6歳以下でなければならない。ただし、6歳になる前から養親になろうとする者が養育していた場合は、8歳になる前であれば特別養子縁組を請求できる。
・実父母の同意がなければならない。 ただし、実父母が障がいや意識不明により意思表示できない場合や虐待・遺棄など子の福祉上やむを得ないときは同意は不要。
・養親のもとで養育する方が、子の福祉にかなうような事情があること
以上のような要件に基づき家庭裁判所が判断しますが、実親との関係を絶つことや養親と養子の離縁は特別な事情がないと認められない特別養子縁組は、慎重な手続が必要であることから、試験的に養親となる者に養子となる子を引き取らせ、6ヶ月以上の期間の監護状況を検討して判断されます。
特別養子を呼び寄せる場合
外国にいる特別養子を呼び寄せる場合は、特別養子縁組届出受理証明書又は日本の家庭裁判所発行の養子縁組に関わる審判書謄本及び確定証明書を添付して「日本人の配偶者等」の在留資格認定証明書交付申請をして呼び寄せます。
特別養子となった者の在留資格を変更する場合
特別養子縁組届出受理証明書又は日本の家庭裁判所発行の養子縁組に関わる審判書謄本及び確定証明書を添付して「日本人の配偶者等」の在留資格変更許可申請をします。