(オーバーステイ)どういう事情があれば、在留特別許可を許可してもらえますか?
在留特別許可が許されやすい要素
「在留特別許可を与えるかどうか?」は法務大臣の自由裁量に任されています。「許すか・許さないかを役所が自由に決めてよい」とも言っていいかもしれません。
(日本以外でもそうですが)外国人が日本に暮らすのは権利ではなく、恩恵である(日本人が外国人へ与えているサービス)という考え方が世界の常識になっています。
とは言え、法務大臣は本当に好き勝手に決めているわけではなく、判断の指針があります
これを「ガイドライン」と呼んでいます
「法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき」は、積極要素と消極要素を並べ、積極要素が多い場合には在留特別許可を与える方向になる、とされています。
在留特別許可申請時に積極的に(プラス要素として)に考慮すべき事情
◎特に「プラス」に考慮すべき事情(次の事情は、大きくプラス要素として考慮する)
親 | ・容疑者の親が「日本人」又は「特別永住者」である |
子 | 容疑者の実子が、「日本人」又は「特別永住者」との間に出生した、未成年で未婚の実子であること
(実子が、嫡出子又は父から認知を受けた非嫡出の子で、容疑者が親権を持ちつつ、相当期間同居・監護・養育している場合に限る) |
子が日本人等ではなくても、容疑者の子が次のような子の場合
日本の小中学校に在学(小学校5年生以上が目安)し相当期間(約10年くらい)日本に在住している実子 (子が日本人で無くても良いが、容疑者が子と同居しつつ監護・養育している場合に限る) |
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配偶者 | 容疑者の配偶者が、「日本人」・「特別永住者」・「永住者」・「定住者」である場合
(配偶者とは法律上の婚姻が成立しており、加えて、夫婦として相当期間共同生活をし、婚姻が安定・成熟している必要がある) ※入籍したばかりという場合は不許可になりやすい要素となる※ |
本人 親族 |
容疑者又はその親族が、難病等により日本での治療が必要不可欠である 親族に日本での治療が必要不可欠な者がいて、その者に看護が必要である |
〇その他、プラス要素として考慮すべきとされる事情(少しだけプラスに考慮する)
親 | 容疑者が、次の者の扶養を受けている「未成年で未婚の実子」である場合 永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者 |
子 | 容疑者が親として、次のような実子について、親権を持ち相当期間同居・監護・養育している場合 永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者資格の未成年で未婚の実子 |
配偶者 | 容疑者が、次のような者の配偶者である場合
永住者、定住者、日本人の特別養子又は日本人の子として出生した者、永住者又は特別永住者の子として出生し日本に在留している者 (配偶者とは法律上の婚姻が成立しており、加えて、夫婦として相当期間共同生活をし、婚姻が安定・成熟している必要がある) |
本人の事情 | 自ら地方入国管理官署に出頭し不法滞在者であることを申告した者(実際上、特に有利に扱っている事情) |
容疑者が、日本での滞在期間が長期間(約20年程度)で定着性が認められる場合 | |
その他事情 | その他人道的配慮を必要とするなど特別な事情があること。 |
在留特別許可申請時に消極的に(マイナス要素として)に考慮すべき事情
◎特にマイナス要素として考慮すべき事情(次の事情は、大きくマイナス要素として考慮する)
刑に処せられたことがある | 違法薬物・けん銃等の密輸入・売買や凶悪・重大犯罪等により刑に処せられたことがある。 |
違反行為 | 不法就労助長罪、集団密航、旅券等不正受交付、不法・偽装滞在助長、売春、人身取引などの出入国管理行政の根幹に関わる違反又は反社会性の高い違反をしている。 |
〇その他、マイナス要素として考慮すべきとされる事情(少しだけマイナスに考慮する)
不法入国 | 船舶による密航、偽造旅券・在留資格偽装などにより不正に入国した。 |
退去強制歴 | 過去に退去強制手続を受けたことがある。 |
素行不良 | その他刑罰法令違反又はこれに準ずる素行不良が認められる。 |
その他 | その他在留状況に問題がある。 |
審査官の判断についての基本的な考え方
在留特別許可の許否判断は、上記のプラス要因とマイナス要因を、それぞれ個別に評価し、考慮すべき程度を勘案した上、プラス要因として考慮すべき事情が明らかにマイナス要因として考慮すべき事情を上回るような場合には、在留特別許可の方向で検討されます。
マイナス要因があるからといって、在留特別許可が検討されないわけではありません
プラス要因さえあれば必ず在留特別許可の方向で検討されるということでもありません