配偶者ビザが取り消される場合があるって本当?

2017-2-18

偽装結婚が目に余るほど多いという事情もあり、配偶者ビザを持っていても、夫婦の関係が形骸化していると評価される場合には、その持っているビザを取り消しうることに、法改正しました

家族滞在・特定活動・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等のいわゆる「配偶者ビザ」について、配偶者として在留することを許可された者は、離婚、死別したときは、14日以内に入国管理局(法務大臣)へ届出が義務づけられる事になりました。

日本人の配偶者等の在留資格をもつて在留する配偶者などが、①正当な理由がないのに配偶者の身分を有する者としての活動を②継続して6月以上行わないで在留している場合には、在留資格を取り消しうる(平成24年より)。

 

「配偶者の身分を有する者としての活動をしている者」とは、単に「入籍している状態が続いている(離婚していない)者である」という意味ではありません。同居したりして家族として支えあう暮らしをしているかどうかか、という意味です。ですので、別居状態が続いたり、家庭内別居になったりして、実際上婚姻関係(愛し合う・支えあう関係)が破綻しており、回復する見込みがなく(仲直りできる可能性も見いだせない)、家族として相互扶助していない場合には、「配偶者の身分を有する者としての活動をしていない」と評価されます

つまり、離婚手続をしていなくても、夫婦として支えってあっていない状態が続く事により、いわば「後から偽装結婚になったケース」ともいえる状態と思われてしまうと、在留資格が取り消される可能性があるという事です

 

相談:では「正当な理由」があれば別居していても許可されるのですね?

回答:難しい相談です。過去より「正当な理由があるので別居している」と入管に申告するも不許可になり、当事務所に泣きついてくるという事が数多くありました。

よその先生に頼んで、「正当な理由」として説明したが、不許可になったという例として配偶者に対するDV(夫婦間暴力)や子への虐待などにより別居を余儀なくされている場合②単身赴任・出向③親族の介護等による別居、という説明の方法があります。最近、上記のように説明しても、不許可になったと泣いてくる人が多いように思えます。

正直にいって、昔は、いつものお決まりの言い訳でした。別居の事情を聴いてみると「DVを受けたDVを受けたと」言うので「DVって何の事なの?」と聞くと「知らない」といいます。仕方なく「本当は?」と聞くと、「中国語のビザ指南サイトに『そういえ!』と書いてあった」、というのです。

入管もそんな「指南サイト」のインチキの方法は当然承知しています。想像する以上に、日本の入管の人たちは優秀なのです。

どうも・・・かつては「DVを受けた」と説明する人であれば許可を与えていたが、実際はやはり婚姻が形骸化しており「ウソであった!」と露見するケースが増えている為、こういう「お決まりの言い訳」に入管が慎重になっているのかもしれません。逆に言えば、インチキが横行するせいで、真に「どうしようもない事情」で別居している人達も不利益を受けている可能性があるかもしれません。

正直に、正しく、申請する事が、何よりも大切です!

質問:では、離婚しても入管に届出をしなければ離婚がバレないから配偶者ビザが取り消されないのではないでしょうか?

回答:でも結局は、次回更新時に「離婚してきたと届け出をしていない」という理由により、更新も変更も、一切の申請が不許可になるだけではないでしょうか?婚姻情報はデータベース化していますし、調べようと思えば入管はいくらでも調べられるはずです。黙っていてどうなるものではありませんので、しっかり入管に離婚をしたと届け出ましょう

 

救済措置(入管法第22条の5)

在留資格取消事由に該当する日本人の配偶者、永住者の配偶者、特別永住者の配偶者について、在留資格取消をしようとする場合には、他の在留資格への変更(定住者等)又は永住許可の申請の機会を与えるよう配慮しなければならない

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